ダゲレオタイプの女

ダゲレオタイプの女

愛が幻影を見せる

黒沢清監督が、オール外国人キャスト、全編フランス語で撮りあげた初の海外作品。世界最古の写真撮影方法「ダゲレオタイプ」が引き寄せる愛と死を描いたホラーラブストーリー。職を探していたジャンは、写真家ステファンの弟子として働き始めることになったが、ステファンは娘のマリーを長時間にわたって拘束器具に固定し、ダゲレオタイプの写真の被写体にしていた。ステファンの屋敷では、かつて首を吊って自殺した妻のドゥニーズも、娘と同じようにダゲレオタイプ写真の被写体となっていた過去があり、ステファンはドゥニーズの亡霊におびえていた。マリーに思いを寄せるジャンは、彼女が母親の二の舞になることを心配し、屋敷の外に連れ出そうとする。

原題:La femme de la plaque argentique / 製作:フランス・ベルギー・日本(2016年) / 日本公開日:2016年10月15日 / 上映時間:131分 / 製作会社: / 配給:ビターズ・エンド

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『ダゲレオタイプの女』予告編

(C)FILM-IN-EVOLUTION – LES PRODUCTIONS BALTHAZAR – FRAKAS PRODUCTIONS – LFDLPA Japan Film Partners – ARTE France Cinéma


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★【スタッフ】
監督:黒沢清(関連作品:『クリーピー 偽りの隣人』)
脚本:黒沢清
撮影:アレクシ・カビルシン
音楽:グレゴワール・エッツェル

★【キャスト】
タハール・ラヒム、コンスタンス・ルソー、オリビエ・グルメ、マチュー・アマルリック、マリック・ジディ

★【雑学(トリビア)】
・第41回トロント国際映画祭のプラットフォーム部門にて、ワールド・プレミア上映が行われた。

★【感想・批評】

●映画フリー
かなりジャンルの掴みづらい作品ですが、あえて言うなら幽霊奇譚といった感じでしょうか。観たことのない映画でした。少なくとも黒沢清はフランスという枠組みにおいても黒沢清になれるという巨匠の威厳を示した傑作だと思います。ダゲレオタイプに囚われた男たちの狂った愛。永遠を与えることが愛だと信じ込んでしまった可哀想な彼らはその網膜に幻影を留め視界の端から立ち現れる愛する者の姿に恐れ、あるいは自分にとっての救いを求める。
●無料ホームシアター 
怪奇映画として他では真似出来ない領域にある稀有な映画です。黒沢清らしさがいかんなく発揮されています。芸術に取り憑かれて現実と写真の世界の区別がつかなくなった男たちが、亡霊の館で精神を崩壊させていくゾクゾクした静かなホラー感。たまらない。震えた。揺らめくカーテンに不穏さを覚え、鏡が映ればその奥に誰かがいるのではないかと疑心に迷い込み、幻影にくらくらする。愛が意味もないわけではないが、罪にはなりうるのだろう。
●BILIBILI 
物語の舞台になっている洋館は、階段がグルリと回る感じで、奥にドアがあり、上を見ると丸い空間が空いているという不思議な構造がこの時点で完全にハマっている。素晴らしいセットだ。ヨーロッパの幽霊は「最初から幽霊として出てくるもの」であり、これらの幽霊を混在させた映画はなかなかない。監督お得意の、本作の現実と非現実の曖昧になっていく、錯乱していく経過の演出はなかでも格別のクオリティ。この世界が本当に恍惚としてしまう。