毛皮のヴィーナス

鬼才ロマン・ポランスキー監督がマゾヒズムに挑む

その名が「マゾヒズム」の語源にもなったことで知られる、19世紀オーストリアの小説家レオポルド・フォン・ザッヘル=マゾッホの自伝的小説「毛皮を着たヴィーナス」をもとにした戯曲を、「戦場のピアニスト」「おとなのけんか」の鬼才ロマン・ポランスキー監督が映画化。自信家で傲慢な演出家のトマは、オーディションに遅刻してきた無名の女優ワンダに押し切られ、渋々彼女の演技を見ることになる。がさつで厚かましく、知性の欠片も感じさせないワンダだったが、演技を始めてみると、役への理解もセリフも完璧だった。最初はワンダを見下していたトマも次第にひきつけられ、やがて2人の立場は逆転。トマはワンダに支配されることに酔いしれていく。

原題:La Venus a la fourrure / 製作:フランス・ポーランド(2013年) / 日本公開日:2014年12月20日 / 上映時間:96分 / 製作会社:R.P. Productions / 配給:ショウゲート

★【スタッフ】
監督:ロマン・ポランスキー
脚本:デビッド・アイビス、ロマン・ポランスキー
撮影:パベル・エデルマン
音楽:アレクサンドル・デプラ

★【キャスト】
エマニュエル・セニエ、マチュー・アマルリック

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『毛皮のヴィーナス』予告編

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★【感想・批評】
宇多丸:週刊映画時評 ムービーウォッチメン
 ↑映画を愛するラッパー宇多丸の痛快な映画評論。

映画の無料動画で夢心地(2016年1月12日) 
マゾヒズムの語源になったマゾッホの「毛皮を着たヴィーナス」の戯曲映画化で、登場人物は二人だけの会話劇。ポランスキー監督の妻エマニュエル・セニエのミステリアスな雰囲気がいい。この題材といい、センスといい、いかにもポランスキーの世界観にぴったりで、このために存在する原作みたいにすら感じる。プロになりきれない半端者の役者のように見せかけておいて、すごく知的で現代思想に精通している主人公が暴れていく過程が魅惑的だった。
STREAMIN (2016年1月13日) 
この作品は名作小説の舞台化における役者と演出家の立場の変化というメタ的なもので、見た目以上に奥深い。一般的な受けは難しいので、ポランスキーを代表する作品とは少し言い難いものではあるけど、予想以上の秀作になっていたと思う。後半にかけての畳み掛けるサディスティックがかなりゾクゾクするし、現代の男から見た女というのがいかに希望的観測であり、かつ現実を見ていないのかというのが浮き彫りになる仕掛けは相変わらずニクイ。
DAILYMOTION (2016年1月15日) 
ポランスキーの舞台劇の映画化というのは「死と乙女」「おとなのけんか」、舞台劇ではないが密室を扱った「袋小路」などがあって、限られた空間でもカメラの位置ひとつで映画以外の何物でもなくなる技巧と閉所恐怖症的な感覚を巧みなテクニックで見せてきたが、今作も毛色は違えどその潮流のひとつなんだろう。密室劇を最大限に生かし、光と影が力関係によりそい、女を官能的に描写していく。普通のサスペンスではない濃厚さを味わえました。