たとえば檸檬

歪んでいる。でも愛している

境界性パーソナリティ障害を抱える女性たちの実体験をもとに、歪んだ愛憎で結ばれる母娘の姿を描いたドラマ。母親の家庭内暴力や過干渉に悩む20歳のカオリは、愛に飢えた野心的な男・石山に出会い、母親の支配から抜け出そうと決意する。大手企業の役員秘書として働く40歳の女性・香織はセックス依存症で、家には引きこもりの娘が待っている母親でもあった。それぞれ母娘間の愛憎に悩むカオリと香織の運命は、次第に交錯しはじめて…。

原題:たとえば檸檬 / 製作:日本(2012年) / 日本公開日:2012年12月15日 / 上映時間:138分 / 製作会社: / 配給:

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映画『たとえば檸檬』予告編

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★【スタッフ】
監督:片嶋一貴
脚本:吉川次郎
撮影:釘宮慎治
音楽:Ken Sato

★【キャスト】
韓英恵、有森也実、綾野剛、佐藤寛子、白石隼也、町田啓太、信太昌之、渡邉紘平、松本若菜

★【感想・批評】

●映画フリー 
境界性パーソナリティ障害という症状を描いた作品だというのは概要紹介で説明されているとおりですが、あまりそのことを強く意識しすぎないほうがいいと思います。普通に歪んでしまった人間たちの物語なんだと思いましょう。不安で不気味な展開は終始嫌な気分にさせるものがあるが、そこには私たちが抱える当たり前の歪みが見え隠れしている。これはきっと誰でも通過しうる人生の鏡なのだ。見事に人間の欲深い底をすくいとった腕に脱帽。
●映画FUN 
クライマックスもすべて他人事ではない。どこかにある闇を観た。きっとあなたにも秘められた黒いものをこじ開ける。カオリと石山、お互い親からの愛情を十分に感じないまま育ち、そしてそれをきっかけにして完璧とはいえないまでも共依存関係のような歪なトラップに自らハマっていく姿は痛々しい。吐き気がするほど不快になるのは正しい反応だし、そこに快楽でも感じている人がいるなら危ない。それは正常な映画の評価なのだから。
●BILIBILI
綾野剛が出ている。まだそこまで有名になる前の作品ですね。やはり彼は持っている。とんでもないエネルギーをまだ上手く発揮できる場所に飢えている。この時点でガツンとやられるような怪物的な演技を見せてくれる。物語も役者の演技に呼応して良いものに仕上がっている。交わることのないと思っていた二つの物語がそんな部分で邂逅するとは驚きました。俳優の持ち味はこういうキャリア初期でもちゃんと隠せないでいるものなんですね。
●VIDEOEYNY
主要人物たちが次々と思いのままにエキセントリックなセリフを吐きつつ、ばこぼこと好き勝手に心情吐露。吐き気がするほど不快になる映画だけど、それをあえて狙ってやっているのが肝であり、そこに敏感に反応するのはまさにしてやったり。道徳や倫理感がすべて取っ払われた世界。不快に感じるから、自分たちが正常なのだと理解しよう。たとえばそれはこの作品に対する想いだったりしても、それを否定されることはあっても奪われないことだ。