火垂(2000)

世界的に高く評価された河瀬直美監督作

雄大な自然と歴史情緒溢れる奈良を舞台に、ストリッパーと陶芸家の愛を描くドラマ。男を作って出て行った母に代わって、姉として一緒に暮らしてきたストリッパーの恭子に育てられ、自らもストリッパーとなったあやこは、妊娠、堕胎、男との別れを経験し、今や生きる意欲を失っていた。そんな中、彼女はたったひとりの肉親である祖父を亡くし、天涯孤独の身の上となった陶芸家・大司と出会う。互いに欠けている物を補うように強く惹かれ、愛し合うようになるが…。

原題:火垂 / 製作:日本(2000年) / 日本公開日:2001年3月24日 / 上映時間:164分 / 製作会社: / 配給:サンセントシネマワークス=東京テアトル

★【スタッフ】
監督:河瀬直美
脚本:河瀬直美
撮影:河瀬直美
音楽:河瀬直美、松岡奈緒美

★【キャスト(キャラクター)】
中村優子(水沢あやこ)、永澤俊矢(東山大司)、山口美也子(山口恭子)、光石研(あやこの父)、北見敏之(飯塚)、杉山延治(東山兼一)、柳東史(母の愛人)、武村瑞穂(あやこの母)、福井美香(少女時代のあやこ)、山本善之(少年時代の大司)、高橋利廣(銭湯の主人)、寺川和男(カブの男)、原田三男(産婦人科医)、永井末子(うどん屋の女将)

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★【受賞】
第53回ロカルノ国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。

★【感想・批評】

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今や世界的に有名となった映画監督である河瀬直美。しかし、日本での知名度はイマイチだ。それはこの監督が安易に商業的な既存の邦画界に足を踏み入れず、いまだに芸術性に特化し続けた創作活動を行っていることが大きいのだろう。ゆえに露出が少なく、大手の映画会社の手も借りず、今に至る。それでも生きながらえてきたのは海外による支援があったからだ。つくづく日本の映画の芸術を支えているのが海外になってしまっていることが残念である。
●BILIBILI
この映画は視聴するチャンスが現時点ではかなり少ない。もし見る機会があれば、逃さずチェックした方がいい。カンヌの常連として世界に認知され、愚鈍なエンタメ量産品ばかりをつくる邦画の業界から離れて、自分の作家性を確立している河瀬直美監督の初期作。この監督の最初のキャリアを形成する作品群は見る媒体が少なく、鑑賞していない人も多いはず。願わくばもっと見られる手段を増やしてくれれば、その作品の良さを広めることができるのだが。
●PARAVI
まるでストーリーなどないかのような導入。そして描かれる淡々とした風景。一方でドキュメンタリーとはまるで違う明らかな視点を感じる不思議な目線の演出。この独特な空気感は本当に上手い。もちろん初期の作品なので、監督の持ち味はまだ成熟していない感じもする。それでも日本の文化や風土、自然をそのまま切り取って見せるセンスは素晴らしく、これなら海外で支持されるのも納得である。こういう特別な才能を日本ではもっと育てるべきだ。